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神奈川県・神奈川県鎌倉市腰越〜藤沢市片瀬海岸
小動〜腰越漁港〜片瀬海岸〜江ノ島(江ノ島電鉄「腰越」駅)2004.10.23
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「石上の午後。」
10月23日、晴れ。北東の風、3m/s。
秋になると毎日のように魚が食べたくなる。ふいに、腰越で揚がったしらすが食べたくなって、久しぶりに海へ出かけた。7月20日に夏本番の由比ガ浜へ出かけてから3ヶ月ぶりの海。
…毎年、夏の暑い時期は海へ行かない事にしていた。いや、厳密には、この海岸巡礼を始めてからは一度も、というべきだろう。夏は沢山の人がいる。お客相手の「よそ行き」の顔ではなく、地元の人ぐらいしかいないような、生活の音が聞こえてくる時間の海に会いたい。そんなわけで、夏の海はここ数年、縁遠くなった。
いくらでも散歩できそうな20度前後の気温が、この秋の湘南にはとてもいい相性となっている。風も浜もサイクリングロードも、すべてが静かで穏やかである。秋の湘南は好きだ。日なたを照らす色温度がいい。日なたと日陰のコントラストがいい。石上のホームで江ノ電を待つ間の、線路の向こうを通り過ぎる学生の漕ぐ自転車の速度が、土曜日の昼の時間の流れ方が、心地良い。…秋の湘南は好きだ。
藤沢から出発し、石上、柳小路、鵠沼、湘南海岸公園、江ノ島、腰越と各駅で写真を撮っていき、腰越商店街と小動から七里ガ浜へ抜ける区間のムービーを撮った後、鎌倉高校前から折り返して再び腰越駅へ戻った。4月の義経慰霊祭の時のパレードを思い出しながら小動の方へと歩いた。1時過ぎの「しらすや」の前は順番待ちの客が大勢いた。今日は、この「しらすや」を経営している網元の『勘浜水産』*1というところで釜揚げしらすを買う予定。ただ、第5シーズンのツアー用に小動で撮影してゆくので、まずは小動へ。
・*1 勘浜水産(http://www.sunfrau.co.jp/shirasuya/)
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「初秋のしらすを求めて」
小さな動き、と書いて「こゆるぎ」と読む小動、は厳密には海岸というよりも岬、だ。浜辺もあるにはある。しかし、七里ガ浜とは区別されるかのように、テトラポッドで境界が敷かれている。
何層にも連なった地層が、海に面した岸壁から覗かせている。腰越へ来る時、あるいは七里ガ浜へ来る時、何度も通りかかるこの場所を海岸の一つとしてカウントすべきかどうかは、去年の今頃からオボロゲに考えていた。「岬」まで数に入れてしまっては、関東地方の海岸をコンプリートするのは遠い先になってしまう。「海岸」だけでも、残り100か所近くはあると考えると、この決断が今後に及ぼす影響は計り知れないが、今回は好きな湘南なので、特別に数に入れてしまう事にしたのだった。時にはこんなコユルさもある…。
小動にも『加藤丸』という網元があるのだけど、いくらなのかわからなかったので、今回はとりあえず値段がわかっている『勘浜水産』目指して、腰越へ向かった。途中、小動神社で10円玉一枚の、気休めのお参りをしてゆく。まだ2時前くらいだが、天気予報に反して、上空は雲が徐々に厚みを増していた。腰越漁港を入ってすぐ目の前に『勘浜水産』の直売所がある。その日港で揚がったいわしが干されている。…目当てのしらすが見当たらない。
「お兄さんは、何する?」
「釜揚げしらす、ないッスか?」
「今日はもうないの」
「…」
代わりに、見事に鮮やかな青色をした生きのいいカツオが何尾も足下の青いバケツに窮屈そうに入っていた。一尾1000円だった。「これを下ろしてもらってもいいな…」と思ったが、今晩はどうしてもここのしらすを使ったかき揚げを作りたくて仕方なかったので、今回は見送る事にした。かといって、もう一度小動へ引き返すのはいささか気が引けた。諦めるにしても、悪あがきするにしても、ひとまずちょっと休憩しようと思って踵を返し、浜辺へ足を向けてみる事にした。天気も気分もまるで、スッカリ夕方みたいになってしまったみたいだった。
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「秋の片瀬」
ちょうど一年前、境川でドラゴンボートレースを見て、江ノ島大橋を渡り切ったところで3年使い続けてきたFinePix1700Zが壊れ、関東地方の海岸巡礼の第4シーズンが始まったのを思い出した。第5シーズンの始まりも、去年みたいにゆっくりとした流れで動き出したいと思っていた。トラブルは起きて欲しくないのだが。
腰越海岸では、ウェットスーツを身にまとった若い人たちが10人前後で2グループほど、ウィンドウサーフィンの講習を受けている、といった様子の光景が見られた。この辺りでウィンドウサーフィンが見られるのはここと、由比ガ浜、逗子などだ。彼らを横目に久しぶりの浜辺を愉しむ。砂を踏む感触が懐かしい。トイレの前の石段を上がって、「いつもの場所」を目指した。
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「江ノ島でしらすを探す」
いつもの場所、といってもおよそ大雑把なものだが、片瀬東浜へ来た時自分が腰を降ろす場所は、大体ほぼ決まっていた。片瀬江ノ島駅から弁天橋を通って、ファーストキッチン前の地下道を潜って出た辺り、である。この周辺の海岸へ来た時は、必ずといっていいほど立ち寄る場所であり、今現在のところ、一番心の落ち着く場所といっていい。
ひとまず腰を降ろす。目の前に広がる、秋の片瀬海岸を見つめる。
何度も見てきた代り映えのしない景色だが、それがいい。それでいい。いつもと唯一違うのは、手にコーヒーかミルクティを持っていない事。だから、なのだろうか。まだ落ち着くには少し早いような気がした。用事を残した子どもがいつも集う空き地を後にするようにして、数分ののちに、江ノ島大橋を歩きはじめていた。江ノ島でしらすを買ってゆく事にした。やっぱり今日の大義名分はしらすだったのだ。休憩するのはそれからにしよう、と。橋を渡り切った左手にいくつもの店が続いている。右には工事中の『江ノ島アイランドスパ』*2がある。
さて、しらすはあるだろうか。一通り流して品定めをする(実際は値段を見るだけだったりする)。『とびっちょ』*3の手前で引き返し、もう一度練り歩く。結局、橋から一番近かった店、海産物問屋『貝作』という店で釜揚げしらすを買った。420円。腰越漁港で買うよりも少し安い。再び橋を折り返して、よく行く洲鼻通りのローソンでミルクティを買って、片瀬東浜へ戻る。
・*2 江ノ島アイランドスパ(http://www.enospa.jp/)
・*3
しらす専門料理 とびっちょ(http://www.tobiccho.com/index.html)
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「秋の片瀬
II」
さきほど買ったしらすは、昨日までの考えでは、白飯をタッパーに敷き詰めて、その上に贅沢に乗せて、腰越漁港の防波堤で食べようというものだった。予定は随分と狂って、このしらすはいくつかの野菜と牛スジを合わせて「かき揚げ」になる事になった。前日、TOKIOの番組で国分太一くんが、ゲストの小倉久寛さんの好物である『とびっちょ』のシラスかき揚げ丼を旨そうに食べていたのを見てしまったからだ。…今からかき揚げを揚げる油の音が聞こえてくるようだ。
右の方では、トンビに食べ物をさらわれている人がいる。まさかとは思うが、自分のしらすを狙いやしないか、少し注意する。そういえばもう、タバコを禁煙してから5ヶ月以上経つ。今でも吸いたいと思う事がある。でも、吸わなくても平気でもある。久しぶりの片瀬東浜でこうして腰を下ろしていても、今はミルクティだけで十分だと思える。
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「秋が流れる湘南」
秋の湘南はいい。辻堂にお店を構える*4、ウルトラセブンの主人公モロボシダンを演じた森次晃嗣さんも認める良さがある。静かで、風も穏やかで本当に過ごしやすい。ついさっきまで携帯ラジオでFMヨコハマを聴いていたが、少し電波の入りが悪いので外した。波の音が聞こえる。特に何も考える事なく、ボウっとする。
・*4 モロボシダンの店 JOLI
CHAPEAU(http://www.linkclub.or.jp/~maakun/jolichapeau.html)
(リンク先は参考サイトです。公式サイトではありませんので、お店についての問い合わせはしないでくださいね)
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「しゃがんで構図をとってみた。」
時間を追うにつれて浜風が冷たく感じられるようになってきた。時間は3時半近く。夕方にはまだ早いが、天気はもう夕方のそれだった。しかし、帰宅には少し勿体ないので、予定にはなかった片瀬西浜へ寄ってゆく事にした。どちらかというと、ここ東浜の方がやや風が強い。西浜の方が少し穏やかだ。
水族館の隣にできたイタリアンレストラン『il chanti beache』*5も見てみたかった。
もっとも都内在住の人間には何も目新しくないし、何よりウチの近所にある店なのだが、ちょっと冷やかし気分というのはあった。実際見てみると、別に悪い感じはしない。テラス席はさほど大きくないもののオーシャンビューだし。まあ、味の判断は人それぞれにまかせるとして、店の前のデッキを通って、そのまま海岸へ出る事にした。境川河口と西浜海岸の隣接部分は、まだ相変わらず工事中だった。
人の数は、サーファーが一足先に帰り始めた東浜よりもずっと多かった。こっちの浜はボーダーばかり。
厚い雲の合間にある、やや薄くなった雲から、赤い色が差し込みつつあった。似たような天気ながらとても素晴らしい写真を撮る事ができた2月の千葉の検見川浜の事を思い出していた。あと20分くらい待てばいい絵が撮れるかも…そんな気がした。波打ち際で行ったり来たりして戯れる子どもの近くで、しゃがんで構図をとってみた。
・*5 il
chanti beache(http://www.chianti.co.jp/index.htm)
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